通勤用のBluetoothレシーバとしてNW-M505の代わりに購入した iFi Audio xDSDですが、はっきり言ってこれまで、ポータブルアンプの類には全く興味がありませんでした。「音質を追求するには超弩級のシステムが良い」というのが信条で、気楽に聴くカーオーディオ、iPhoneやWalkmanなどのポータブルオーディオは、「そこそこの音で鳴ってくれれば良いや」という考え方でした。
そういう意味でもSONY Walkman NW-M505は小さくて、そこそこの音質ということで気に入っていました。まぁ、朝の通勤時は音楽も鳴らさず、耳栓代わりにイヤホンを耳に突っ込んでいるということの方が多かったかも知れません…SHUREのイヤホンは耳栓として十分に役に立ってくれてますので。
しかし、ワイヤレスというのは便利なものでBluetoothで音楽を聴くことに慣れてしまうと、iPhoneに直接イヤホンを挿して聴くのが邪魔で面倒臭くなってしまいます。おまけに、私が使っているiPhone 6のヘッドホン出力は音が悪いのです。iPhone 5sから乗り換えた時に音を聞いてがっかりしました…そういう意味では、BluetoothでありながらNW-M505は及第点の音質でした。
今回、MW-M505が壊れてBluetoothレシーバを探した顛末は前回書いた通りですが、NW-M-505以上の音を出してくれそうなものはポータブルアンプしかないように思いました。
その中でBluetooth対応で、かつ、音質もそこそだと思えるるのは、iFi Audio xDSDと FiiO Q5ぐらいのようでした。(実際に色々音を聴き比べた訳ではありませんので、私の勝手な先入観です)
FiiOは中国メーカーで、iFi Audioは英国メーカです。FiiOは新しいAKMのチップを使用しているのに対し、iFi Audioは頑なにBurr-Brown(現在はTI)のDSD1793(まだ、ディスコンになっていなかったのね)を使い続けているという頑固さが気に入りました。何となく音のイメージもつきます(笑)
ちなみに、私のメインスピーカはTANNOY Arden MKIIなので、これも英国製です。(車はフランス車ですけどね…)
そして、ボリュームコントロールなど、演算によるビット落ちを避けるため、なるべくデジタルデータでの加工は避け、アナログ処理で行うというのはアナログ設計の腕に自信があるからでしょうね。
また、最近では、バランス接続が流行ってきているせいか、iFIもS-Balancedという方式を採用しています。…って、大層な名前ですが、なんの事はない、左右のGNDが分離されているだけです。他のメーカーのように+、ー差動でドライブするわけではありません。でも、差動駆動の場合は特性が揃ったアンプを使わないと意味がなく、(出力を取りたい時や、測定データは良くなりますが…)思う程簡単には音は良くなりません。 そして、肝心の音声信号が余計な回路を通ることにもなり、音質の劣化は避けられません。アナログの場合は、Simple is the bestですからね。
まぁ、営業要求による無理矢理なネーミングでしょうかね。「バランス」じゃないだろうとは思います。きっと”S-Balanced”という商標なんです。 左右のセパレーションが2倍に改善されると書かれていますが、左右の配線が一緒になったヘッドホンプラグとコネクタ部の共通インピーダンスが無くなるからですね。だからと言っても聴いて明らかにわかる程の差は無いのではないでしょうか。(比べていませんので想像ですけど) よほど大きな音で聴いていれば別でしょうが… まぁ、何をやっても音が変わるというのもオーディオならではですけどね。
ただ、他社の差動駆動方式とは異なり、これまでの3.5mmステレオプラグのイヤホンもそのまま使えるというメリットはあります。もちろん、バランス接続にすると、より良くなります(ね)。
(差動方式に3.5mmステレオプラグを突っ込むとマイナス側が短絡され、アンプが壊れる事がありますからね)
前置きが長くなってしまいましたが、レビューに入りたいと思います。
パッケージは、良くあるタイプです。シュリンクパックを破って開けます。
本体とポーチが付いています。
ポーチの底にはケーブルが通せるように穴が空いてます。
USBケーブルが三種類付属しています。
・USB Type A(メス) ー Type A(オス)
・USB Type A(メス) ー Type B(メス)
・充電用 Micro USBケーブル(短い)
ネットの紹介記事でUSB OTGケーブル、Apple lightning CCKケーブルが付属しているように書かれているものもありますが、これらは同梱されていませんので、別途購入する必要があります。マニュアルにも「両方とも入ってないよ」って書かれてます。あと、シリコンバンドも入っていませんでした。
他には、xDSDとスマホやDAPを重ねて使えるようにベルクロ/マジックテープも付いてます。
細いやつが三本付いていますが、これはxDSDの波波のTOPに貼り付けて使うのでしょう。
私は重ねては使わないので貼ってません。
そして、最初は何か解らなかった…これ、
SPD I/F 光ケーブルのアダプタでした。これも試してません。
さて、本体の説明です。
説明書にフロントパネルの図が載っています。
良くみてくださいね。各操作ボタン等に番号が振られていますよね。
これがマニュアルの項目番号に対応しています。
分かってしまえば何てことないんですが、最初どこに各部の説明があるのだろうかと戸惑ってしまいました(←お前だけだろ)
あまりにも1のボリュームが強烈で、6の設定/Bluetoothボタンのアイコンと読み間違えてしまい無駄な時間を費やしてしまいました。以下の説明も図の番号に対応しています。
- 押すことで、電源のON/OFF、音量調整、MUTE、そしてBluetooth(無線)とUSB/SPD IF(有線)の切り替えを行います。中央はLEDで、色でモードを示します。
グルグル回すと音量を調整できます。
・電源ON: LEDが消えている状態で長押しすると、LEDが点灯し電源が入ります。
電源投入時に表示されるLEDの色で、入力の状態が無線(青)か有線(緑)を表示します。
すぐに音量表示に変わるので見逃さないように。
・音量調整:グルグル回して音量を調整します。アッテネータ量に応じてLEDの色が変わります。
・MUTE: 電源ON状態で、短く押すとMUTE/UN-MUTEをトグルで切り替えます。
MUTE状態ではLEDが点滅します。
・電源OFF: LEDが点灯している状態で、長押しするとLEDが白になります。
この状態でボタンを離すと電源が切れます。お疲れ様でした。 - 入力端子の選択状態、Bluetoothのペアリング状態などを表示します。
- イヤホンを差し込みます。3.5mmの3ピン、4ピン バランスタイプが使えるようです。マイク付きの4ピンは使えません。
- 3D+というモードになるらしい。確かにボーカルなどでは、頭の真ん中にあった音の定位が少し前に来るようになります。アナログ処理だそうな。左右をちょっとミックスするのかな? 私は使わない。
- XBass+ちょっと低域が伸びるらしいが気持ちの問題か?
これも、アナログ処理だそうな。弱目のBASSブーストかな? 私は使わないなぁ。 - 設定/Bluetoothボタン
短く押すと4,5の3D+とXBass+がON/OFFできる。二種類の効果を一つのボタンで切り替えるので、4回押すと一巡することになる。
長押しすると、Bluetoothの強制ペアリングモードになる。一度ペアリングした機器は自動的に接続される。(8台まで登録できるらしいが、何台が登録すると新たに登録できないという不具合もあるようだ…私は一台しかペアリングしていない)また、電源OFF状態で、このボタンを押しながら電源を入れるとLINE出力モードになる。
この状態では、音量を調整できない。音量が調整できなくなった時は、誤ってこのモードに切り替わっていないかを確認しよう。(お店でこのモードになって爆音のまま調整できず困った)この歯車アイコンとセンターのボリュームコントロールの歯車を勘違いしてしまい。
Bluetoothのペアリンができず悩んだ…
お次は肝心の音質です。
評価に使った機材は以下の通りです。
・ iPhone 6
・ MacBook Air macOS High Sierra 10.13.5 + iTunes (ホームシェアリング経由)
・ SHURE SE535-V, SAEC SHC-120FSにリーケーブルしています。オリジナルのケーブルに比べ、高域が少し落ち着き、中域が少し太くなり、低域も少し力強く切れが良くなっています。
● 先ずはBluetoothです。iPhone 6にBluetoothで接続します。
・電圧の差もあるのでしょうか、SONY NW-M505より圧倒的に余裕のある音です。どちらかというと、ちょっとゴリッとしつつも温かみのある音です。Bluetoothだからと思いAAC 256kbpsでリッピングしていましたが、xDSDだとAAC 256kbpsとAAC 320kbpsの差が明らかです。NW-M505ではほとんど差がわかりませんでした。ハイレゾ音源は持っていませんので確かめていません。
・ 音量を上げても煩くはありません。いい音は、このように感じますね。また、音量を絞っていってもキチンと音が聴こえます。音量調整も細かくできます。
・低音はちょっと太めですが、ブーミーにボケる事なく気持ちの良く締まっています。ベースもきちんと音階がわかります。
・高音もキツくはなく、しかし、きちんと伸びています。ハイハットも程よい硬さの音です。 ただ、Bluetooth(AAC)なので限度はありますね。もうちょっと伸びて欲しいと思ってしまいます。ちょっと窮屈に感じますね。
・ボーカルなどの中域も滑らかです。少し低音寄りのボーカルが会うようです。
・どちらかというと、アコースティックな音が得意で、音数が多い曲はちょっと苦手なようです。
・Bluetoothレシーバーとしては十分合格です。
・ホワイトノイズは若干聞こえますが、それほど耳障りではありません。十分許容範囲です。
・エイジングは必要なようです。電源を入れてから小一時間経つと音が伸びてきて、スムーズな音になります。
● 次にUSB接続です。
iPhone 6にLightning CCKケーブル、MacBook Airに 付属のUSBケーブルを接続で聴いてみました。
・ Bluetoothでもかなりいい音だと思ったのですが、USB接続での音は別物でした。帯域がより広がり、音も明るくなり、より細かい音が聴こえてきます。ボーカルでは息づかいもリアルさが増します。音楽に没入できますね。ついつい、CDをロスレスでリッピングし直して聴いてしまいます。ポタアンを買ってヘッドホンを愛用するひとが多くなるのも分かります。
そうそう、音が良くなると、同じ曲を聴いてもなんだかゆっくりと聞こえる事がありませんか?そして、小さな音量でも遠くまで音が届くようになるんですよね。
さて、ここまで結構良いレビューでしたが、さすがは英国製…それなりのルーティンや試練が必要なようです。
この続きは次回に…