アマチュア無線の資格を取得したのは随分昔です。きっかけは、当時の電気通信監理局(電監)があった熊本でしか受験できなかった国家試験が地元の福岡でも実施されるようになったからで、学校の友人数人と一緒に試験を受けに行きました。開局した時の無線機は、今はなき福山電機の144MHzの中古モービル機でした。当時は携帯電話もなかったため、夜な夜な友人とラグチューを楽しんでいました。
しかし、社会人になり、だんだんと仕事が忙しくなり無線からも遠ざかり、数回は再免許しましたが、そのうちに失効してしまいました。元々は、電子工作の趣味から電波を出したいと思い、始めたアマチュア無線だったためQSOやDXに興味がなかったからかもしれません。
そして、しばらくアマチュア無線のことなどすっかり忘れていたのですが、会社の先輩がアクティブにアマチュア無線で活動されていることを知り、また、Twitterで流れてきたアマチュア無線関連のツイートを読んでいるうちにFT8など新しい方式ができていることを知り、また無線に興味が出てきました。幸いにも以前のコールサインもまだ空いているようでしたので、旧コールサインを復活させてみたいと思いました。初めて手にしたコールサインで当時は再割り当てもなかったため、自分の名前と同じように思えたものです。
今回は、旧コールサインでの(再)開局までの作業などをご紹介したいと思います。アマチュア無線開局申請の際の参考にしてください。
旧コールサインでの再開局ではありますが、無線局の免許は切れていますので、法律的には新規の開局です。その開局申請の時に旧コールサインでのコールサインの割り当てを希望するということになります。もちろん、旧コールサインを誰も使っていない(割り当てられていない)ということが前提です。開局申請は、電子申請で行うのが手軽で安価でおすすめです。
電子申請による開局申請に必要なものは、以下の通りです。
- 電波利用 電子申請・届け出Lite のID
- 無線従事者免許
- 無線機
新スプリアス対応の技適機種以外を使用する場合は、JARDまたはTSSの保証認定が必要です。 - 申請手数料
電波利用 電子申請・届け出Liteを使って50W以下の無線局を開局申請する場合 2900円(2022年時点)
これに加えて、旧コールサインを割り当ててもらうためには、旧コールサインが割り当てられていたことを証明する以下の資料のどちらかが必要です。
- 旧識別符号(コールサイン)の無線局免許状
失効した無線局免許状は、総合通信局に返納することになっていますが、何故か手元に残っていた場合はこれが使えます。 - JARが発行する旧コールサイン確認書
ここから「旧コールサイン調査依頼書」 をダウンロードして必要事項を記入し、切手を貼った返信用封筒を同封しJARLに申請します。 私の場合は大体一週間ぐらいで旧コールサイン確認書が送られてきました。特に、JARL会員ではなくても対応していただけます。(開局していないのですからほとんどの人はJARL会員ではないですよね)
総務省のWebから電波利用 電子申請・届け出Liteの IDを取得します。申請から約一週間でIDが郵送されてきました。このIDと初期パスワードを使ってログインし、初期パスワードを自分で決めたパスワードに変更します。電子申請LiteのIDを申請するときに無線従事者免許の番号を入力するところがあります。
無線従事者免許が無くても申請はできるようですが、無線従事者免許を受け取ってから申請する方が良いと思います。
私の場合は、昔使っていた無線機(旧技適機種)を使って開局したため、JARDの保証認定を受けました。電子申請・届け出LiteのWebから、開局申請を作成します。まだ、この時点では、総合通信局には申請せずに申請書は「入力内容保存」ボタンで保存しておきます。この保存した電子申請ファイルと、保証認定願いをJARDのWebフォームから申請します。保証認定願いを申請したらJARDに保証料を振り込みます。費用は認定を受ける無線機の数により変わります。私の場合は 4100円でした。
9/28夜に申請と保証料を振り込み、保証認定完了のメールに「技術基準適合の保証書」添付されて届いたのが10/13でした。実働10日でした。この時に、私が添付した電子申請ファイルから、JARDで一部補正された電子申請ファイルが添付されていました。保証認定を受ける無線機は、工事設計書をすべて記載しないといけないと思っていましたが、JARDで補正されたものは(旧)技適番号が書かれているだけでした。
いよいよ、総合通信局へ開局申請を提出します。保存していた電子申請ファイル、もしJARDから補正された電子申請ファイルが来た場合はそれを電子申請Liteの「保存したファイルを読み込んで編集」のボタンを押して読み込みます。工事設計の添付書類にJARDから送られてきた「技術基準適合の保証書」を添付して申請します。この時、無線局免許状の受け取り方法を選択するのを忘れないようにします。
「3 免許に関する事項」の 「⑤希望する免許の有効期間」 は、どうもチェックを外しても再読み込みするとチェックがついてしまうようです。
また、「免許状受け取り方法」の「個人情報の取り扱い」で「送料受取人払いによる受取」を選択した場合の「個人情報の提供に同意する」のチェックも再読み込みするとチェックが外れています。多分、次のページへの遷移の時にアラートが表示されるだけのようです。なので、後から申請書の控えを見て慌てる必要はありません。(多分)
電子申請を提出する前に、申請内容の一覧が表示されますので、印刷するかPDFなどで保管しておくと後から確認するのに便利です。
申請する前に、記入漏れ等がないか「事前チェック」をしておきます。でも、誤記までは検出してくれないようです。事前チェックが完了したら、その画面から申請することができます。
参考までに、私が申請した時の各申請のステップを時系列に並べてみます。
- 10/13(木) 深夜 電子申請・届け出Lite から開局申請
- 10/14(金) 朝 システム到達 メールも到着。
- 10/17(月) ステータスが審査中になる
- 10/25(火) 昼 なんと、補正依頼のメール到着、ステータスが補正依頼中になる。
JARDの保証認定を受け、「技術基準適合の保証書」を添付したにも係わらず、 旧スプリアス基準の無線機のため、JARDもしくはTSSによる保証が必要との依頼でした。
確かにJARDの「技術基準適合の保証書」は、「第X送信機のXXは新スプリアス基準に適合していることを保証する…」などの具体的な記載ではなく、あっさりとしたものでしたので、これではダメなのか?とも思いましたが、とりあえず総合通信局に電話して確認しました。問い合わせの方法は凸電話しかないようですね。
(私)「あの~、問い合わせ番号XXX-XXXのアマチュア無線開局申請の件ですが、先ほど補正依頼のメールをいただいたのですが、JARDの保証認定は受けていて、保証書も添付して申請したんですけどー」
(担)「あ、そうですか? 見落としてたのかも知れません。その保証書ついていたら大丈夫だと思います。調べてお電話しますのでお待ちください」
— 数分後 —
(担)「こちらの見落としでした。申請には問題ありませんでしたので、もう少ししたら手数料支払いの案内が届くと思います」
と、いう結果でした。若い感じの男性で丁寧に対応していただきましたので、「そっちのミスじゃんとか」いう気持ちには全くなりませんでした。 - 10/26(水) ステータスが審査中に戻る。
- 10/27(木) ステータスは審査中のまま。
少ししたら手数料支払いの案内が届くといわれたのに、なかなか届かないため、他にも不備があるのかと思い総通に2回目の電話。
(私)「あのー、問い合わせ番号XXX-XXXですが、直ぐに手数料支払いの案内が届くといわれたのですが、なかなか来ないので、他にも不備があるかと思い確認の電話です」
今度は若い感じの女性でした。
(担)「アマチュア無線の件ですね。担当者に確認しますので、少々お待ちください…」
(担)「本日の夕方には処理できそうとのことです。5時ごろまでお待ちください」
(私)「ご確認ありがとうございました~! 待ってまーす」
こちらも丁寧に対応していただきました。コミュ障の私は女性と話す機会などなく、ちょっと緊張しました。 - 10/27(木) 16時過ぎにステータスが納付依頼になる。
速攻でネット銀行からペイジーで手数料 2900円を支払い。ステータスが審査中に戻る。 - 10/28(金) ステータスは審査中のまま。
きっと今度は総通の偉いさんの承認待ちなんだろうな~と思い待つことにする。 - 11/2(水) 午後 ステータスが審査終了になる。 やった! 後は免許が届くのを待つだけだ!
免許の年月日は、この日 11/2 になっていました。 - 11/4(金) 審査終了のメールが届く。おそらく、免許状の発送が完了したタイミングか?
郵便局の追跡で確認した無線局免許状の引受日(発送日)も11/4になっていた。 - 11/6(日) 朝、郵便局から「本日、総務省アマチュア無線免許状係から代金引換で届いています。600円を用意しておいてください」と携帯に電話があり、
待つこと30分、郵便配達人がベルを二度鳴らす。 → 無線局免許状受け取り!
この時点では、総務省の無線局等情報データベースには登録されていませんでした。 - 11/9(水) 総務省の無線局等情報検索 で検索可能になっていました。
月曜から水曜の間に登録されたと思われます。
私の場合、申請から実働14日で免許されたことになります。暦日では、約3週間でした。
申請の数によって審査にかかる日数には差があると思います。総務省のWebでは通常1か月程度と案内されていますので、あせらず気長に待ちましょう。総通に何度も電話して審査の邪魔をしないように我慢しましょうね。