Calctus をご存知ですか?
もう、使われている方も多いと思いますが、Windows用の電卓アプリです。
作者は、Twitter/Xで著名な シャポコ @shapoco さんです。GitHub から入手することが可能です。
“Calctus (カルクタス) is a calculator application for Windows developed for engineers.”と説明されているようにエンジニア向けに作られています。
Calctusは、非常に使いやすい”エンジニア向け関数電卓”アプリで、”物理的”電卓好きの私もすべてのWindows PCに入れているぐらい気に入ってます。
気に入っているところはたくさんありますが、他の電卓になくて、特に、私が気に入っているのは、SI接頭語が使えるといことです。 たとえば、m は\(10^{-3}\), u は\(10^{-6}\)として計算してくれます。他の電卓アプリやExcelのように1E-3とか1E-6とかに置き換える必要はありません。電気屋にはもってこいです。
1[uH]のインダクタ L と、100[pF]のコンデンサ C の共振周波数を計算してみましょう。
共振周波数は、\begin{align} \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\end{align}で求められます。\(\pi\)はPI、\(\sqrt{ }\)はsqrt( )と入力します。途中まで入力すると候補が表示されるので、効率よく入力することができます。
15915494.309189534 と計算できました。
でも、折角だったらMHzで表示してほしいですよね。
一番下にあるAuto Dec Hex Bin…の部分をクリックするとRadix(表示方法)を切り替えられます。”SI”をクリックして、Radixを”Auto”から”SI”切り替えると、15.915494309M と期待する表示になりました。これだと15.9[MHz]だと直ぐにわかりますね。F12でも”SI”に切り替えられます。でも、私のPCでは、F12の裏に機内モードが割り当てられているので、操作を間違うとマウスが使えなくなります(笑)
RadixをHexに切り替えると、16進数表示になります。他に2進数、8進数、もちろん10進数にも表示(基数)を切り替えられます。C言語と同じ表記で16進数は0x, 2進数は0b, 8進数は0がつきます。また、これらを付けて数字を入力すると基数を切り替えることができます。
CharでASCIIコードに変換することもできます。Charは ‘A’ のように入力します。
RadixをHexにしていたので、0x41と表示されました。
0x41と入力して RadixをCharにすると、’A’ と表示されます。
solve()で式の解を求めることができます。Newton法で計算しているので近似解ですが、実用には問題ありません。回路設計など小数点以下3桁もあれば十分です。例えば、電圧 E[V]を抵抗R1, R2で分圧して、電圧 D[V]を作りたいときは、\(\displaystyle D = \frac{E R2}{R1+R2}\) で求められます。E,R1,Dが決まっていて、R2を求めたいときは、この式を変形して計算しますが、solve()を使うと、式を変形せずとも簡単に求められます。
E = 10[V], R1 = 10[kΩ], D = 1.5[V]の時、R2を求めてみましょう。
R2を変数Rとして入力しています。知りたい値を変数に置き換えて入力するだけです。Radixを”SI”にしましたので、1.764705882k と求まりました。
共振回路の定数選定などにも使えますね。エンジニアには便利なのではないでしょうか。(私はよくHP P電卓のソルバーを使っていした)
RPNに慣れてしまうと普通の電卓が使いにくくなるのですが、CalctusはRPNが使えます。
私もRPN派なので、これはうれしい機能です。しかも、わざわざRPNに切り替える必要もなくシームレスに使えます。ただし、一般的な入力方式との両立のためか、少し制限があるようです。
例えば、RPN電卓では、1+2 を求めるときに 1 [ENTER] 2 +と入力すれば 答えの 3 が得られますが、Calctusでは、1 [ENTER] 2 [ENTER] +と入力する必要があります。細かいことですが…
作者のシャポコ @shapoco さんは、素晴らしいセンスをお持ちの方で、Tweet/postを読んでいつも感心しています。時々アップされている電子工作もなかなか思いつかないような、それでいて斬新なアイデアで、技術力、ユニークさを感じる素晴らしいものです。イラストも可愛くて楽しいし、福岡在住のようで親近感を覚えます(笑) 迷惑かもしれませんが(笑)