GPSDO 10.0MHz基準周波数発振器を作る(番外編3)~OCXOを10811Dにしてみた

投稿者: | 2024/01/14

拙作のGPSDOでは、OCXOにMorion MV89Aを使っていました。テスト版としてMV89Aの代わりにhp 10811Eが使えるようにしたF/Wを作りましたが、自分では動作確認ができていませんでした。今回、hp 10811Dを入手しましたので、OCXOを交換してみました。

一口にhp 10811といっても多くの種類があります。データシートによると10811Dと10811Eはコネクタの違いはありますが、スペック的には同じようです。10811A/B用ですがサービスマニュアルもありました。
同じ10811シリーズでも、比較的よく出回っている10811-60111より10811D/Eの方が性能は良さそうです。信号源などに使われていたものなのでしょうか?
Morion MV89Aと比較すると、τ =1 s の短期安定性は MV89Aが2E-12以下、10811Dが5E-12以下となっていますが、MV89Aも10811と同様にいくつかのバリエーションがあるようで、そのままスペックシートで比較できるものかはわかりません。もちろん、中古品なので個体差の方が大きいようにも思いますが…
また、Morion MV89AはダブルオーブンのOCXOですが、10811Dはシングルオーブンです。Z3801Aなどに使われている10811はオーブンが追加されダブルオーブン仕様になっていて、10811Dよりもかなり大きくなっています。
また、EFC(Electronic Frequency Control)の感度はMV89Aが0~5Vで約5Hzなのに対して, 10811Dは-5~5Vで約1HzとEFCに対する感度はかなり低くなっています。EFC回路のノイズやドリフトなどの影響も受けにくいのではないかと思われます。

今回入手した10811DにはI/Fボードがついていました。

どうやら20Vを供給すると、オーブン用の電源20Vと信号回路用の12Vを生成し、10MHz出力を取り出せるもののようです。ボードには、89431-66580 と型番がありました。残念ながら、このI/Fボードの回路図等の資料は見つけられませんでした。ざっくりと確認したところ、このI/FボードはEFCがGNDに固定されていて周波数は10811Dのトリマで調整する仕様のようです。また、オーブンが温まるまで10MHzが出力されないような回路が入っているようです。
GPSDOは、OCXOの発振周波数をEFCにより制御するため、EFC端子がGNDに固定されているのでは使えません、また、OCXOからの10MHzをマイコンのクロックとして使っているため、オーブンが温まるまで10分以上もクロックが出力されないのはちょっと困ります。そこで、I/F基板を改造し、EFC端子をGNDから切り離しEFCを使えるようにしました。また、10MHzクロックは、10811Dの端子から直接取り出すことにしました。

改造して組み上げた写真です。

GPSDO基板にはMV89A等のOCXOを載せられるようにしていましたが、スペースが無駄ですね。基板は150x100mmの大きさですが、少し大きいと感じていましたので、OCXOの部分を除いて小さくした基板をその内につくってみたいと思います。

金曜の夜から日曜まで丸2日間エージングしてみましたが、10811Dの発振周波数はプラス方向にドリフトしています。安定するまでにはもう少し時間がかかるのでしょうね。しかし、周波数カウンタの表示を見ている限りでは評判どおり短期安定度は良さそうな感じです。
とりあえず、今回は動作確認までとして、時間をみつけてケースに入れ、性能を評価してみたいと思います。いつになるのやら(笑)

まだ、動作確認途中ですが、10811対応のF/Wを希望される方は honkytonk.jp(at)gmail.com までご連絡ください。(at)を@に置き換えてください。

GPSDO 10.0MHz基準周波数発振器を作る(番外編3)~OCXOを10811Dにしてみた」への2件のフィードバック

    1. honkytonk 投稿作成者

      コメントありがとうございます。
      安定するまでにはまだ日数がかかりそうですが、高安定の片鱗は感じます。さすがはhpです。
      連続エージングするためには、ケースに入れなければ…こちらもまだまだ日数がかかりそうです(笑)
      気長にお待ちください(^^)

      返信

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