ALINCO DR-620D 「電源が入らない」を修理した

投稿者: | 2024/07/30

ローカルさんから、「電源が入らないALINCO DR-620Dを診てもらえないか」と連絡がありリグを預かりました。最近、中古で入手されたそうです。

症状は、最初は問題なく電源が入っていたが、フロントを分解してディスプレイの掃除をしたら電源が入らなくなったということでした。

診断開始です。
まずは電源コードとFUSEの確認です。これはOKでした。

次はフロントモジュールの確認です。
電源スイッチはフロントについています。これを押すと、フロント基板のマイコンから、通信で本体のMAIN基板のマイコンへ “電源スイッチが押された” 情報が送られます。
なので、フロント基板のマイコンが動作するための電源が供給されているかを確認します。

CN602 3pin 8Cに供給された+8Vが IC602で+5Vに降圧され、マイコンの電源となります。電圧を確認すると、8C に電源が供給されていません。
フロントーMAINの接続ケーブルも断線はしていませんでした。
そうなると、本体MAIN側の不具合ですね。

本体のカバーを外し、電圧をチェックします。
8C +8Vは、IC16 7808で13.8Vから降圧されます。しかし、IC16の1pinに電圧が来ていません。
ということは、電源スイッチTr Q63 2SB1386 が壊れているか、ON(Bが0V)になっていないかです。
Q63 Eには13.8Vは供給されていました。という事は、Q63 BをドライブするQ74 2SC4081 がONになっていないのでしょう。 R414のマイコン側の電圧を確認すると0Vでした。ここはマイコンから駆動されるのでマイコンが動作していない可能性大です。

ここまできたら、ばらして基板を確認するしかありません。Mコネクタのハンダを吸い取り、基板、ファイナルを固定しているネジを外すと簡単に基板は取り外せました。

次は、MAIN基板のマイコン電源の確認です。マイコン電源は IC22 78L05 で13.8Vから5Vに降圧されて供給されます。 IC22 3pinの電圧を確認すると、0Vでした… しょっぱなからNGですね。
ACC SW SW1の1pin, 2pinには電圧が来ていますが、IC22 3pinには電源が来ていません。ここは直接つながっているはずなのですが… テスターで導通をしらべても、SW1 2pinからC562にもC497にもIC22 3pinにも導通がありません。基板パターンを確認するとスルーホールから青く緑青?が出ています。これでパターンが切れているのでしょうかね… 電解コンデンサの液漏れはありませんでした。DR-620Dは2000年以降に生産された機種なので、液漏れコンデンサは使われていない(液漏れがゼロなわけではないですが)と思うんですけどね。気になるのは、C470 2200uF/16Vを固定している接着剤かな??

UEW線で接続しました。
セラミックコンデンサ(特にMLCC)の端子にはんだ鏝で直接はんだ付けするのはクラックが発生する可能性があるのでNGです。写真ではC497にもはんだ付けされているように見えるかもしれませんが、IC22 の 3pinにだけしかつけていません。MLCCはセラミックのクラックによりショートする恐れがあるので、特に電源ラインなど低インピーダンスの回路に使うときは注意が必要です。基板焦げますよ。直ぐにショートするのではなく、しばらく時間がたってからショートすることがあります。

これで、マイコンの+5Vが供給されるはずです。組み上げて確認すると無事に電源が入りました。
フロントモジュールの分解掃除とは全く関係ない故障でした。たまたま症状が出たタイミングが同じだっただけしょう・
しかし、このリグは操作方法が他メーカーとは変わってますね…初見で操作するのは難しそうです。マニュアル読まないといけませんね。

今回はネタが少なかったのでちょっと詳しめに書いてみました(笑)

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