ICOM IC-3700を修理した(Part 1)

投稿者: | 2024/07/12

頼まれ物の電子工作は基板もできて後はケースに組み入れるだけになっているのですが、どうもケース加工はやる気がでません。ケースを前にしてやる気をトリクルチャージしていた…そんな折、ローカルの局長さんから無線機の修理を依頼されました。ICOM IC-3700です。

症状は「電源が入らない」、以前は何度も電源スイッチを押すと入っていたが、ついに電源が入らなくなったということでした。この年代の無線機、故障原因の多くは電解コンデンサの液漏れが絡んでいます。IC-3700は日本国内でしか販売されていなかったのか、ネットでサービスマニュアルを見つける事はできませんでした。基本的に回路図がない機種の修理は受けないのですが、外見を見る限りIC-3700と兄弟と思われるIC-2700のサービスマニュアルは見つかりました。もちろん、RF部分の回路は異なりますが、電源ONに関係する部分は大体同じでした。まずは、電源が入るように修理してから次を考えることにし、修理を引受けることにしました。もちろん、直らなければリグはそのまま頂くということで…直したいような直したくないような(笑) 残念ながら、これまで修理を受けたリグでジャンクとなって手元に残ったものはありません…残念です…

IC-3700を受け取って分解してみると、シャーシ構成がケンウッドTM-941とよく似ていますね。まぁ、こういう構成にするしかないんでしょうね。修理するのがとっても大変なんですよね。メーカーのサービスセンターでは延長ケーブルを使い、ばらした状態でも電源を入れて動作をみれるのですが、当然、素人の私のところにはそんなものはありません。バラシて修理しみて、組み立てて動作確認を繰り返すことになりるので、手間と時間がかかるのです。コネクタやケーブルの劣化も進んでいるので神経を使います。それでも、「やってしまう」ことが良くあります。

さて、最初はやっぱり電源スイッチがあるコントロールユニットからです。ばらしてみると….予想していた以上に電解コンデンサの液漏れでパターンや部品が腐食しています。

きれいな青はスルーホールに入った電解液により銅が析出したものでしょうかね。スルーホールも断線している可能性大です。そして、スルーホールをよく見ると、パターンにつながっていないスルーホールがいくつもあります。えええ、これは4層(以上)基板ですな。スルーホールが断線して内層のパターンが切れていたら探すのも大変です。頭が痛くなってきました。
とりあえず、コントロールユニット内の電解コンデンサは全て交換します。発熱も大きいのでかなり厳しい使用条件なせいもあるのでしょうが、小径のチップ電解コンデンサは封止ゴムが小さいためなのか液漏れが激しい印象があります。

パターンもボロボロですね。レジストも侵されてペリペリと剝がれてしまいました。

ちょっとボケボケの写真ですが、容量抜け、液漏れの心配が無い10uF/16Vのセラミックコンデンサに置き換えました。MLCCはバイアス電圧によって容量が大幅に減少するので要注意ですが、このコンデンサは16V印加時でも75%の容量はあるようです。まぁ、使われている回路をみても数μFの容量があれば大丈夫でしょう。
できる範囲でですが、スルーホールの掃除もしました。(最終的にはこの写真よりきれいになっています)
スルーホールの掃除には、細い線か針が適しています。細いドリルでも良いのですが、高価ですし折れたときのショックが大きいので、100均で購入したカラーピン(待ち針)をやすりで細く研いで使ってます。まぁ、いくら掃除しても、漏れた電解液を完全にはふき取ることはできないので、気休めかもしれませんが。

電源スイッチの回路を追いかけると、スルーホールが断線して信号がつながっていませんでした。やっぱり内層パターンでした。明瞭なパターン図もないので、どこで切れているのかは追いかけられません。リード線で直接接続して電源が入るようになりました。

電源が入ったので、ようやく各部のチェックができるようになりました。to be continued…

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