ICOM IC-3700を修理した(Part 2)

投稿者: | 2024/07/14

不動のIC-3700もようやく電源がはいるようになりましたので、次は動作確認をおこないました。

ざっくり確認すると、いくつか不具合が見つかりました。

  • MAIN, SUBを切り替える、バンドスイッチが働かない
    その他のスイッチはとりあえず反応する(良かった)
  • 送信しっぱなしになる
  • 変調がのらない

「送信しっぱなしになる」のは、マイクコネクタ基板の接触(ハンダ)不良でした。
PTT回路は、マイクコネクタ基板でプルアップされていますが、コネクタが接触不良のためプルアップが効いていない状態でした。コネクタを外そうとしたら、基板からコネクタが外れてしまうほどでした。ハンダをやり直したら直りました。このコネクタは力をかけると簡単に壊れてしまいます。コネクタの隙間に薄いマイナスドライバー等を入れて嵌合を外すように注意して作業します。
他にも、M8Vの電源が出ていません。R90が焦げて焼き切れて、D25のツェナーダイオードが割れていました。

Q14は生きていました。もし、マイクが壊れていてM8Vが短絡したとしても、Q14が生きていることからD25が割れるようは故障はしないと思われます。この部分は、電源ICやトランジスタの熱であぶられている箇所です。やっぱりこれも電解コンデンサの液漏れでしょうかね?
ツェナーダイオードは手持ちのリード部品、18Ωの抵抗はちょっと大きいですが秋月電子で20Ω/2Wの抵抗を調達し交換しました。M8Vは定格電流 10mAのようですから、18でも20でも対して変わらないでしょう。
いったん組み上げてみましたが変調が乗りません。信号線を追いかけていくと、コネクタのMIC端子の接触不良でした。コネクタを手直しすると壊しそうですので、リード線で直接つなぐことにしました(笑)

バンド切り替えの不具合は、コントロール基板のキースイッチダイオードのパターンが腐食断線しているためでした。

これは、液漏れをある程度掃除した後ですが、パターンもスルーホールもボロボロですね。ダイオードのピンも腐食しているので交換しないとダメかなと思いましたが、まだ生きてました。スルーホールと断線したパターンだけ処理して無事動作するようになりました。

これで、一通りの動作は確認できました。次は、まだ交換していない電解コンデンサの交換です。
LOGIC基板、AF基板、MAIN-A、MAIN-B全部バラシて電解コンデンサを交換しました。
電源回路の出力コンデンサは、33μFと47μFで使い分けられている箇所があります。電源の負荷や立ち上がりタイミングの調整で違うのを選択したのかも知れませんが、33でも44でもバラつきや経年劣化を考えるとどちらでも良さそうにも思えるんですけどね。一応設計者の意図を尊重してオリジナルと同じ容量の電解コンデンサに交換しました。設計者によって、33(μF, kΩなど)が好きな人、47が好きな人がいるんですよね… ひょっとすると、ベースにした回路がその容量になっていたのかも知れませんね。
0.1μF/50Vの電解コンデンサは、わざわざ電解コンデンサである必要もなさそうなので、経年劣化が少ないセラミックコンデンサに置き換えました。

全部の電解コンデンサの交換が完了し組み上げてチェックすると音量調整が変です。ボリュームを完全に絞ると音声はでませんが、一段でもあげるととてもうるさく聞こえます。音量が変化していないのかというとそうでもなく、変化幅は小さいものの一応変化しているようです。制御信号もちゃんときているようです。音量を調整している電子ボリューム TC9154Aの故障かと思いましたが、こんな壊れ方はしないように思われ悩んでいました。最悪は後段のアンプゲインを落とすかですが、なんだか解せません。
とりあえず、交換用にAliExpresでTC9154Aを手配し、部品が到着するまで回路図を見ながら悩んでいましたが、ふとTC9154Aの仕様書の等価回路をみて気が付きました。

そうなんです、TC9154APを片電源で使用しているため、A-GNDが交流的にGNDに落ちていないとダメなのです。

R70とR71で1/2に分圧した VDDをA-GNDにバイアスとして与え、C55 47μFで交流的にGNDに落としています。

上の写真を見て、賢明な読者の皆様はもうお分かりになったかもしれませんが、TC9154APの右側にあるランドがC55なのです。そう、交換のためC55を外したもののつけ忘れていました。コンデンサを外す前に写真を撮っていたのですが、ちょうどこの部分だけ写っていませんでした。だって、他のコンデンサと違いコンデンサ外形のシルク印刷がありません。電極マークはありますが、間違えても仕方ないですよね。はい、言い訳です。
C55をとりつけると正常に音量を可変できるようになりました。
わかってしまうと何という事はないですが、結構悩みました。

あとは、LCDのバックライトをランプからLEDに交換し、全部組み上げて修理完了です。
このリグに限らずですが、シリーズレギュレータとしてつかっているトランジスタがかなり発熱しますね。電解コンデンサの寿命にも影響していると思います。TM-941,TM-942とかも同じです。

なんとか復活させて、無事リグをお返しすることができました。大変よろこんでいただけました。よかったよかった。

IC-3700は修理するのは大変ですが、面白い機械ですね。受信状態でも発熱はすごいですが…まぁ、シリーズレギュレータで電源を組むと仕方ないですよね。
今回、色々と経験できたので自分用にもIC-3700が欲しくなりヤフオクをチェック中です(笑)

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