以前、ローカルさんから頼まれた ICOM IC-3700を修理し、自分でもIC-3700が欲しいなと思っていましたが、ようやく入手しました。
今回手に入れたIC-3700をチェックしたところ、いきなり「送信しっぱなしになる」不具合がありました。ダミーロードをつないでいて良かったです。とりあえず、430MHz帯のファイナルが無事なことも確認できました(笑)
IC-3700の発売は1994年頃だったようで、もう30年前のトランシーバーです。
まぁ、30年も経てば色々と不具合が出ても仕方ないですね。
先ずは、「送信しっぱなし」を修理しないと、他のチェックができません。
これは、以前修理した時に経験済で、PTT回路(Q3とR9でロジック反転)がMIC UNIT(マイクモジュラー)基板にあるため、コネクタの接続不良か電解コンデンサの液漏れによるリークが考えられます。
まぁ、J4のPTTはRX時 0Vなので、リークよりも接触不良でしょうね。
とりあえず、分解します。
以前修理したIC-3700のMIC UNIT基板はフレキブル基板(FPC)でしたが、今回のは普通の基板でした。
おそらく、振動等でハンダ不良かコネクタ勘合不良等の接触不良が多発したので設計変更されたのでしょうね。ばらすには、まずMIC UNIT基板とAF基板を固定しているハンダを取らないといけません。MIC UNIT基板のコネクタはLOGIC UNIT基板に接続されています。
ばらして基板を確認すると、今回も電解コンデンサの液漏れが発生していました。前回の機種同様、特に小型の10uF/16Vチップ電解コンデンサの液漏れが酷かったです。この10uF/16Vコンデンサはどうも一般的なものより小型のようです。そのため、封止ゴムも小さくなり漏れやすくなっているのでしょうかね?幸いなことにパターンまでは腐食していませんでした。電解コンデンサは全て交換です。問題の10uF/16Vのコンデンサは液漏れの心配がないセラミックコンデンサに変更しました。ディスクリートの電解コンデンサはSANYO製で見た感じでは液漏れはしていないようですが、年数が経っているため全て新品の105℃品に交換しました。元の電解コンデンサが85℃品なので、105℃品に交換しておけば孫の代まで使えます(笑)
とりあえず、コンデンサ交換のみ行い組み立てて動作確認をしたところ、その時は「送信しっぱなし」の不具合は直っているようでしたが、数日たつと時々「送信しっぱなし」の不具合が出ました。再度ばらすと、今度はMIC UNIT基板のコネクタが外れてしまいました、やはりコネクタの接触不良が主原因だったのでしょう。ハンダづけをやり直しました。再度組み立てて、「送信しっぱなし」が直っていることを確認しました。
ようやく受信もできるようになったので、次は動作チェックです。
スケルチが開くとSPからの音声がめちゃくちゃ歪んでいます。
また、操作バンド切り替えがうまく働きません。
外部SP端子に外付けSPをつないで確認すると、こちらも少し歪んでいるようですが、SPジャックを何度か抜き差ししていると、まぁまぁ聞ける音になりました。しかし、相変わらず内蔵SPは歪んだままです。
出力カップリングコンデンサ、SPジャックの接触不良、そしてSPも不良になっているようです。
MAIN(A,B)基板の電解コンデンサも全交換することにしました。作業しやすいように、面倒ですが基板だけを取り出します。急がば回れです。シールド版やファイナルを取り外す必要がありますので、電動のハンダ吸い取り器が必要ですね。ハンダ吸い取り線とスッポンだけではやりたくない作業です。
やはり、出力カップリングコンデンサC160 220uFを取り外す時に嫌~な臭いがしました。液漏れです。とりはずしたC160をLCRメータでチェックすると、抵抗と判断されました。液漏れでリークが激しくなったのでしょうね。
MAIN基板にも10uFの電解コンデンサが使われています、こちらもセラミックコンデンサに交換です。また、IC8の入力カップリングのC155 0.1uFも電解コンデンサからセラミックコンデンサに変更しました。本当はフィルムコンデンサとかに交換したいのですが、でかいし、手持ちも無かったのでセラミックで我慢です(笑)
コンデンサを交換し一旦組み上げて確認しましたが、音声歪みは直っていませんでした。外部SP出力端子につないだSPでは問題ありませんでした。そうなると、SPの不良ですね…
手持ちに薄型だけど径がだいたい同じで使えそうなSPがありましたので、交換しました。
C160のリークで劣化したんでしょうかね。
操作バンド切り替えの不具合は、周波数/バンドスイッチ基板との接続コネクタ不良でした。基板はFPCでした、部品の取り付け方は前回修理したIC-3700のものとは少し違っているようでした。途中いくつかのバージョンがあるのでしょうかね?
コネクタはハンダを手直しされた形跡がありましたが、微妙に隣のピンとショートしていたようです。ハンダを手直して動作するようになりました。前から動いていなかったのかな?
フロントのCONTROL UNIT基板の電解コンデンサは、全て10uF/16Vのチップ電解コンデンサなのですが、漏れなく漏れていました(笑) しかし、パターンは無事でしたので、早めに処置できた良かったです。こちらも全てセラミックに交換です。
プラスチックやカバー板金も汚れていましたので、キレイキレイできれいに洗っておきました。(中性洗剤がなかったので)
IC-3700は何度かマイナーチェンジがあったのでしょうか?LCDのバックライトがオレンジのものと緑のものがあるようです。どちらも豆球ですが、緑のカバーがかぶっていました。オーナーが替えられたのかもしれませんが。
古い機械なので、修理は覚悟していたのですが、とりあえず、無事に直ったようでよかったです。
その内保証認定をとって追加したいとおもいますが、直ぐに使用する予定はありませんので、しばらくは1200MHzの予備機として保管しておきます。